Plan
平面図
- Site
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- Retreat
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- Guest room wing
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Photo by Akiyoshi Fukuzawa
屋久島南部の山麓に計画された、手つかずの自然に身を委ねるための静かな滞在拠点です。
敷地は、島の山々から続く深く濃密な森のほとりにあります。周囲には屋久島らしい大岩が点在し、風へ揺れる葉ずれの音に鳥や虫の声、そこへ雨の音、沢のせせらぎ、落水の響きが折り重なるように聞こえてくる場所です。
第一印象は、いっけん相反するようなふたつの表情をもつ土地だ、ということでした。ひとつは、周囲の山々や広い空、南国特有の緑などがもたらす開放的で活力のある場のイメージ。一方、沢沿いの深い森は、独特の静寂な厳かさを感じさせます。これらはいずれも屋久島の自然の象徴的ともいえる要素であり、そのどちらをも兼ね備えていることに、心を動かされました。
今回のプロジェクトは、もともと陶芸やキャンドルづくりなどの体験施設として使われていた場所を、自然に向き合うためのリトリートの場へと再編する、というものです。計画にあたっては、敷地内のさまざまな(屋久島らしい)表情をいかし、それに応じた〈場〉をつくっていくことを主題としました。エリアを大きく〈開放的で活力のある場〉と〈静寂で厳かな場〉とに分割しながら連関させ、決して屋久島の自然と対峙するのではなく、そのなかへ拓かれていくような空間を意識しています。
今回新たな設計とした母屋についても、屋久島の自然に同期するように存在することをめざしました。石貼りの壁は、山の中に昔からあった遺跡のような佇まいで、建築を風景の一部として静かに溶け込ませています。LDKは〈開放的で活力のある場〉に向けて大きく開き、一方で主寝室や浴室は、森や沢、落水の気配を間近に感じられる〈静寂で厳かな場〉に面して配置しました。
〈静寂で厳かな場〉への入り口となるメディテーションスペースは、ヨガや瞑想を通じて、まさに自らを自然のなかへと拓いていくための空間です。そこからさらに森へと潜るように小径を辿れば、沢のほとりに架けられたデッキに至ります。濃く重なっていく木々、濡れた岩肌、うつくしく落ちる木漏れ日、落水の音。訪れた人はここで、最も深く屋久島のなかに身を置き、自身の境界を曖昧にすることができます。













































| 施工 | ヒラウチ建設株式会社 |
|---|---|
| キッチン | BAROS |
| 所在地 | 鹿児島県熊毛郡屋久島町 |
|---|---|
| 用途 | リトリート(住宅) |
| 家族構成 | ── |
| 竣工年 | 2024 |
| 構造 | RC造/平屋建 |
|---|---|
| 敷地面積 | 約1355坪 |
| 延床面積 | Retreat :62.7坪 / Guest room wing:23.0坪 他 |
| 総工費 | ── |