Plan and Section
平面図・断面図
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天井のパネルは、海をできるだけ映しこむように計算して配置しています。このことにより、窓際から離れていてもつねに外部空間=海の存在を感じとることができます。海辺という立地をいかした、開放感のある空間のための、ひとつのしかけです。
Photo by Akiyoshi Fukuzawa
神戸市・塩屋に建つ、築古のマンションの一室をリノベーションしたプロジェクトです。
塩屋は神戸市西部、丘と海に挟まれた坂の多い町です。明治期以降に外国人が建てた洋館がいまなお点在し、眼前に広がる海とあいまって、その独特な空気感が印象的なエリアとなっています。リノベーションをおこなったのは、そんな塩屋の海に面するマンションの7階。日々海を眺めながら生活をしたい、という人にとっては、とても希少で魅力的な物件といえるでしょう。
クライアントは家具製作の会社をいとなむ方です。無垢材をふんだんに用いた家具を得意とされていて、私たちがお仕事で製作をお願いしたときからのご縁でした。
計画にあたって私たちが考えたのは、やはりこの「海と空だけが見える景色」を最大限活かすにはどうしたらよいか、ということです。当然このままでもロケーションとしては最高なのですが、建築当時の基準でつくられた部屋は現代からすると天井がやや低く、海をのぞむ開口部の寸法にもすこし物足りなさを感じるところ。残念ながらそれらを物理的に高く/大きくすることはかないませんが、そんな空間をいかに広く見せるか、またどうすれば室内のどこにいてもつねに海を感じられるようにできるか、と考えながら設計をおこなっていきました。
結果としてできたのは、海を映しこむ天井をもつ、主寝室とLDKが一体化したワンルーム。マンションの一室でありながら、海辺の別荘で暮らしているような解放感とともに過ごせる空間です。
天井のパネルは、海をできるだけ映しこむように計算して配置しています。このことにより、窓際から離れていてもつねに外部空間=海の存在を感じとることができます。海辺という立地をいかした、開放感のある空間のための、ひとつのしかけです。
天井には水面をイメージしたパネルをあしらいました。これは薄い金属をミラーになるまで磨き上げ、3D曲げ加工を施したもので、海の青色をできるだけ映しこむように計算して配置しています。窓の大きさ自体を広げることはできませんが、天井が映す海の青がより外部空間との繋がりに広がりを与え、開放的に感じられる空間となりました。また、邪魔な梁の側面にミラーを貼ることで圧迫感を減らす、といった設えも合わせておこなっています。
クライアントは家具製作をいとなまれていますから、もちろん置き家具はすべてクライアントの会社の製品になります。ときには家具のギャラリーとしてもつかえるように、というご要望もあり、プランは間仕切りを極端に少なくしたワンルームとしました。主寝室だけは建具によって仕切れるようにしていますが、それもすべて開放すれば、塩屋の海をのぞむあわせて約30帖の広い空間を楽しむことができます。
施工 | 株式会社須々木工務店 |
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所在地 | 神戸市 |
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用途 | 別荘 |
竣工年 | 2024 |
構造 | RC造マンション(改装) |
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敷地面積 | ── |
延床面積 | 21.6坪 |
総工費 | ── |