敷地は、空が広いのどかな住宅地の一角にあります。大きな道から一本裏に入った静かで広々とした空間です。この町は古いニュータウンですが、建替えも進み世代交代がうまくいっていると言われている高級住宅街で、周辺は大きな土地に大きな家が立ち並んでいます。そんな場所に、地階RC、地上木造二階建て、建築面積179平米、延べ床面積392平米の大きな邸宅を計画しました。
プランニングの過程でまず意識したのは、以下のことです。
- 南側に広がる公園に対し、プライバシーを守りつつ適度に開いて、屋内や庭から公園の緑を楽しめるようにすること
- 隣地が低い地盤となっている東側から、朝日が取り込むこと
- 東側の擁壁が地下駐車場と干渉しあわないような配置とすること
周辺環境を読み解き、諸条件を考慮すると、建物、地下駐車場、庭をどこに配置すればこの土地にぴったりと嵌まるのかが見えてきました。その建物の配置の様から「勹の家」(つつみがまえのいえ)と名付けました。
「勹」とは「包」の部首でもあり、元となった本来の漢字でもあります。この漢字は人が体を曲げているところを横から見た様の象形文字で、「つつむ」「くるむ」「覆う」「隠す」「取り囲む」といった意味があります。
プール付きの庭を南東の陽当たりが一番よい場所に配置し、それを包むように「勹」型の建物を配置しました。建物を高く建てられるゾーンのうち、周辺環境をシャットアウトしたい箇所を2階建てとし、周辺環境を積極的に取り込みたい部分は平屋、もしくはオープンなボリューム構成とし、加えて東側には塀を設けるなど、プライバシーを守りつつ、公園の緑の恩恵を受けやすいようしています。庭とつながるようにつくられたLDKは、62平米の広い空間です。これは2階のアートスタディリビング(42平米)まで、吹抜けを介して連続し、さらに広がりを見せます。
特徴的なかたちのオフィスは、「離れ」のように分離されたボリュームで、エントランスへのゲートを兼ねたブリッジを渡ってアクセスします。この場所は、家の中でも公園の緑と庭が同時に楽しめる特別な場所となっています。昼間に長時間居ることの多いクライアントの快適なofficeとなるように考えました。
建物と公園の緑に包まれた庭を中心にアクティビティーが広がる、ファミリーが快適に楽しく過ごすことができるように考えられた邸宅の提案です。
Analysis of the Site
Plan
平面図
- Basement
- 1F
- 2F
Photographs
写真
Data / Credit
勹の家Hook Shaped Haus
計画地 | 大阪府北摂地区[Unbuilt] |
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用途 | 専用住宅 |
計画年 | 2019 |
構造 | RC造/地階+木造/地上2階 |
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敷地面積 | 135.8坪 |
延床面積 | 116.3坪 |