西宮市北部、里山のふもとに建つ住まいです。
周辺はなだらかな山林のあいまに田畑が広がった、空の広いのどかな地域。この敷地も、北西方向がそんな自然豊かな里山に隣接しています。しかしそれ以外の方角に関しては、隣家や田畑からの視線が気になる立地でもありました。
計画にあたっての課題は、そのような環境のなかでプライバシーを確保しつつ、北西に隣接する里山風景をできるだけ活かすこと。そこであえて、その里山「だけ」しか見えない切り取られたビューをメインに据え(北西に開口をたくさん設けるとと夏の西日が厳しいのですが、ここでは里山が西日を遮ってくれます)、一方全体はロの字型プランとして外部からの視線を遮りつつ、住まいの中心にある中庭からの光で充たしていく構成としました。
RC壁式構造でつくられた建物は、外観からも明らかなように機能の異なる2つの構造体から成り立っています。ひとつは、室内空間を形成するための鉄筋コンクリート打ち放しの躯体。17.5mx11.5mの長方形の真ん中に6.8mx4.5mの中庭を内包する、とてもシンプルでマッシブな矩形です。
もうひとつは、その躯体を覆い隠すように複雑な形状で纏わりつく白い壁です。この白い壁は、玄関までの長いアプローチの屋根、北西の里山に臨む里山テラスやその他の小窓の庇、あるいは屋上の室外機を隠す壁などの役割を持った構造体で、いびつな敷地形状に従いながらも、合理的かつ印象的なかたちとなって建物を完成させています。このマッシブさと軽快さの対比が、里山の緑のなかにくっきりと浮かび上がるように意識して設計にあたりました。
周囲に塀を設けることなしにプライバシーを完全に保ちながら、同時に里山の環境と風景も楽しむことができるコートヤードハウスです。
- Outline
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- 約180坪とゆとりのある敷地をいかした平屋の住まいです
- 室内空間を形成するRCの躯体と、そこにまとわりついてアプローチの屋根/テラスや窓の庇となる白い壁、という対照的なふたつの構造体からなっています
- 中庭から光をとりこむことによって、プライバシーを確保しながら、隣接する里山の風景を切り取って楽しめるプランとなりました
- 内部はミニマムながら要所に女性的な優しさも感じられる空間に
Analysis of the Site
Plan
平面図
- 1F
Features
特徴
Photographs
写真
Data / Credit
西宮・里山の白い平家A White Courtyard House
Nestled along Satoyama
in Nishinomiya
施工 | 株式会社コネクシオホーム |
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キッチン | 株式会社KOBE STYLE |
所在地 | 西宮市 |
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用途 | 専用住宅 |
家族構成 | 夫婦 |
竣工年 | 2023 |
構造 | RC造/平屋 |
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敷地面積 | 180.7坪 |
延床面積 | 59.3坪 |
総工費 | ── |