Plan
平面図
- 1F
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Photo by Akiyoshi Fukuzawa
子供が巣立った後、これから夫婦で楽しみながら暮らしていくためのリノベーションです。
クライアントはご主人がビオラ奏者、奥様がピアニスト。自然と音楽好きが集まり、演奏会になることもあるというお住まいです。しかし、そろそろメンテナンスが必要な時期ということもあり、お子様の進学をきっかけに、光が入りづらく底冷えのするLDKを明るく居心地のよいものにしたい、とのことで既存住宅の1階部分のリノベーションをご依頼いただきました。
周囲が建て込む市街地のなかにあって、この1階のLDKはもともととても暗いイメージ。どうやって明るくするかが課題です。そこで今回は、LDKの拡張/天井を高くする/窓の拡張/疑似トップライトの活用、ということを考えました(この他、床下の断熱改修も行っています)。
将来を見据えつつ、おふたりが楽しく快適に過ごせる空間づくりをめざしました。
もともと矩形ではない平面形状なのですが、鈍角と鋭角の部分をうまく活用して上手に家具を配置することで、「使いにくい」から「広がりを感じる」「個性的でおもしろい」となるよう考えました。
オリジナルのダイニングテーブルは、この空間に合わせ、またこれによってすべてがひとつに纏まるように意識してデザインしました。天井は、たびたび演奏会をおこなうご夫婦やご友人のために、音楽ホールをイメージしています。
立地上、LDKの明るさを確保するため照明も補助的に必要ということになりました。しかしせっかくのLDKなのですから、ただ明るいのではなく、できるだけ自然の光(に近いもの)で満ちていてほしい。
自然の光のなかで暮らすのは、大切なことです。単純にここちよさもありますし、光とわたしたちの生体リズムには、密接な関係があるからでもあります。しかしみなさんご存じのように、その〈自然の光〉は一定のものではなく、季節/時間帯/天候などによってさまざまな明るさ/色温度/色みへと変化します。
そこで今回採用したのは、遠藤照明さんの〈Synca〉です。
ろうそくの炎から晴天の光まで、わたしたちを取り巻くさまざまな〈自然な光〉をより広い範囲で再現できるこの新しい照明機器は、LDKにあしらった格子天井のなかであたかもトップライト(天窓)から差し込む光のように働きます。昼はあかるい陽光のなかで過ごし、夜にむけて徐々に低色温度・低照度にして心身ともにオフの状態にし、眠りの質を高めていく──そんな健康的でここちよい暮らしをこのLDKで楽しんでほしいと思います。
リビングに面した小さなゲストルームは、壁の上部をガラスとして「天井の繋がり」を見せ、LDKの広さを損なわないようにデザインしています。
また、この部屋は将来、上階に上がるのが辛くなったときにベッドルームとして活用できます。現在トイレとして使われている部分をシャワーブース+トイレという洗面室に拡張することで、より1階だけで生活が完結しやすいようにと考えました。
施工 | 株式会社ARCH |
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所在地 | 神戸市 |
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用途 | 専用住宅 |
家族構成 | 夫婦(+大学生の子供が休みのたびに帰って来る) |
竣工年 | 2024 |
構造 | RC造(改装) |
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敷地面積 | ── |
延床面積 | 60m2 |
総工費 | 1740万円(税込) |