〈奥行き〉がもたらす、新しい暮らし
間口2間半(4.5m)の2階建て住宅の改修です。このような限定的な空間の場合は、やはり「どのように広がりをもたらすか」ということがテーマとなります。検討の結果、この細長い敷地をいかし、〈奥行き〉をうまく見せることが大切だと考えました。
また改修にあたっては、一度スケルトンの状態まで解体し、壁面を減らす一方で梁の補強や耐震補強、耐震金物を追加し、窓や断熱材も全て交換、省エネ等級4以上の性能としています。
- 1F: 奥行きのあるLDK
-
1階では、間口が狭い分、廊下を極力廃したプランにより空間をLDKに集約、最大化させました。さらに、奥の庭(かつては薄暗く、物干場としてしか使われていませんでした)についても、今回の改修でウリン材のウッドデッキをつくり、LDKと一体化。同材のウッドフェンスで囲むことで、プライバシーも守られるようになりました。おかげで日常的にカーテンが開け広げられるようになり、LDKがより〈奥行き〉のある開放的な空間に変わっています。天井や照明も、あわせてその奥行きを強調させるようなデザインとしています。
また、横幅3.6mの壁つきキッチンも、玄関から近く、動線もシンプル、収納もたっぷりあるものとなりました。
- 2F: 囲われたバルコニー
-
2Fの主寝室のバルコニーにも仕掛けを行っています。もとのバルコニーの手すりは低く透け感のあるものでしたが、それをあえて高くし、また頭上をレッドシダーの貼られた軒で深く覆うことにより、プライバシーが完全に守られる場所としました。
そのためこちらもLDKと同様に、日常的にカーテンを開け広げられるようになり、狭かった主寝室が奥行きと開放感があるものに。さらにこの〈囲われたバルコニー〉には、タイルのカウンターが常設され、寝室の延長として実際に空間を拡張するものとなっています。
このバルコニーはファサードの美観にも良い影響をもたらし、画一的な家が並ぶこの地域の中で個性的な外観となったことは、クライアントの方にも喜んでいただくことができました。
Photographs
photo: akiyoshi fukuzawa
奥行きのあるLDKの家 Re:
施工: 株式会社須々木工務店
キッチン・洗面台: クチーナ神戸
所在地 | 明石市 |
---|---|
用途 | 専用住宅 |
家族構成 | 夫婦+子供3人 |
竣工年 | 2021 |
構造 | 木造二階建て(改装) |
---|---|
敷地面積 | 34坪 |
延床面積 | 29坪 |
施工費 | 2600万(税込) |