吹き抜けという特有の広大な空間は、家の内部に独特の広がりと明るさをもたらしますが、その照明計画は一般的な部屋とは異なるアプローチが求められます。
効果的な照明は、ただ明るくするだけでなく、空間の機能性と美観を高める重要な役割を果たすため、計画的に進めることが必須です。
以下では、吹き抜けの照明計画の基本的な手順と照明器具の選定方法について詳しく解説します。

吹き抜け照明の基本計画の立て方
空間の大きさと高さを測定する
吹き抜け照明計画の最初のステップは、空間の正確な大きさと天井の高さを測定することから始まります。
この測定は、どの種類の照明器具が適切か、何個必要か、そしてどの高さに設置すべきかを決定するために不可欠です。
例えば、非常に高い天井には、より多くの光を投射できる強力な照明が必要になるかもしれません。
照明の目的を明確にする
次に、照明に求める機能を明確にします。
吹き抜けの照明は、単に空間を明るくするだけでなく、美術作品のような特定のオブジェクトを強調することや、温かみのある居心地の良い環境を作り出すことも目的とするかもしれません。
照明の目的が明確であればあるほど、選ぶべき照明の種類や配置も効果的に決められます。
光の層を考慮して計画する
吹き抜け照明の計画では、光の層を作ることが重要です。
上層、中層、下層といった様々な高さに照明を設けることで、空間全体が均一に照らされ、よりダイナミックな光の演出が可能になります。
層によって異なる種類の照明器具を使用し、空間の特徴を活かしながら光をコントロールすることが、美しい吹き抜け空間を演出する鍵となります。
照明器具の選定と配置の方法
吹き抜けに適した照明器具を選ぶ
吹き抜けの照明器具を選ぶ際には、その空間特有の要件に合わせた選定が必要です。
一般的に、吹き抜け用の照明器具としては、チャンデリアやペンダントライト、スポットライトが適しているとされています。
これらの照明器具は、遠くまで光を届ける能力があり、空間を際立たせるデザインが特徴です。
照明の配置場所を決める
照明器具の効果を最大限に発揮するためには、その配置場所を慎重に決定する必要があります。
一般的に、吹き抜けの中心にメインの照明を配置し、周辺には補助的なライトを配置することで、空間全体をバランス良く照らすことができます。
配置計画時には、照明からの光が直接目に入らないように注意することも重要です。
明るさと光の広がりを考慮する
照明計画において最も重要なのは、選んだ照明器具が提供する光の量とその広がりです。
吹き抜けの広大な空間を考慮すると、一般的な部屋よりも多くの光を必要としますし、光が均等に広がることも求められます。
照明器具の光の強さ(ルーメン数)、配光特性をしっかりと確認し、空間全体が適切に照らされるよう計画を進めましょう。
まとめ
吹き抜けの照明計画は、その空間の特性を理解し、目的に合わせた適切な照明器具の選定と配置が成功の鍵を握ります。
正確な測定から始め、目的に合った照明計画を立て、光の層を意識した配置を行うことで、美しく機能的な吹き抜け空間を創出することが可能です。
また、照明器具の種類や配置、そして光の強さと広がりにも注意深く配慮することが求められます。
これらのポイントに注意して照明計画を進めることで、吹き抜けが持つポテンシャルを最大限に引き出し、快適かつ印象的な空間を実現できるでしょう。
投稿者プロフィール

- はじめまして。兵庫県神戸市で一級建築士として活動している石憲明(せき のりあき)です。「seki.design」では、神戸市や芦屋市、西宮市を中心に、注文住宅やマンション、別荘、クリニックなど、幅広い建築物の設計・監理を行っています。
私が大切にしているのは、クライアントとの対話です。一人ひとりのライフスタイルや価値観に寄り添い、その人にとって最適な「住まいのかたち」を提案しています。デザイン性と機能性の両立を追求しながら、地域に根差し、暮らしやすさと美しさを兼ね備えた空間づくりを目指しています。
「こんな住まいが欲しい」「この空間で過ごしたい」と感じていただけるような建築をお届けしたいと考えています。
どうぞよろしくお願いいたします。
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