マンションにおける隣人トラブルに多いのが階下への騒音問題です。
住んでいるマンションの床の遮音性能によってどの程度音が防げるのかは大きく変わってきます。
また、床の性能次第で暮らし方も変わってくるため、遮音性能について理解することが大切です。
そこで今回は、マンションの床の遮音性能について解説します。
□床の遮音性能を表すL値について
上の階で発生した音が下の階でどのくらい聞こえるのかを規定した基準にL値というものがあります。
L値は、小さい数字であるほど高い遮音性能があることを示しており、その数字によって等級が分かれています。
この等級によって、聞こえる音の程度が実際の生活で発生する音の大きさで表現されているため、多くの人にわかりやすい基準です。
また、L値は、下の階に聞こえる音の程度によって、軽いものによる衝撃の音(LL)と、足音などの重いものによる衝撃の音(LH)の二つに分かれており、一般的にはLLの方が重要とされています。
具体的なLLの等級の数字としては、LL-40が特級、LL-45が1級、LL-50〜55が2級、LL-60が3級で、それより数字が大きいものは階級外と規定されています。
特級や1級では上の階からの音はほとんど聞こえないか、微かに聞こえる程度で、2級になると少し気になる程度の遮音性能です。
そして、3級では音がかなり聞こえて気になってくるほどの性能とされています。
そのため、近隣住民との騒音問題の可能性を減らすには1級以上の遮音性能がある部屋に住むことをおすすめします。
□床の遮音性能を左右するものとは
まず、軽量床衝撃音を左右するものは、床の仕上げ材です。
床の遮音性能を高めるには、一般的に使用されるフローリングではなく、クッション材が取り付けられた仕上げ材を取り入れましょう。
また、その上に遮音性の高いカーペットを利用することでL値は特級まで上がるため、よく物音が出そうな部屋ではそのような対策を施すのが良いでしょう。
次に、重量床衝撃音を左右するものは床スラブの厚さです。
床スラブとは、鉄筋コンクリート造の床のことで、強度を保つために鉄筋が格子状に埋め込まれたもののことです。
重量床衝撃音に対しては、床スラブの梁に囲まれた面積が小さく、その上でスラブ厚が厚いほど遮音性能が高くなります。
具体的なスラブの厚さとしては、200ミリ以上が必要で、230ミリ〜250ミリほどあると安心して生活できるでしょう。
□まとめ
マンションの床の遮音性能について解説しました。
今回解説したL値や、遮音性能を高める方法を家選びにぜひ活かしてみて下さい。
遮音性能の高い床を選び、騒音の発生を防ぐことで近隣住民とのトラブルを未然に防ぐことにつながります。
何か気になることやご相談があれば、当社にお気軽にお問い合わせください。
投稿者プロフィール
- はじめまして。兵庫県神戸市で一級建築士として活動している石憲明(せき のりあき)です。「seki.design」では、神戸市や芦屋市、西宮市を中心に、注文住宅やマンション、別荘、クリニックなど、幅広い建築物の設計・監理を行っています。
私が大切にしているのは、クライアントとの対話です。一人ひとりのライフスタイルや価値観に寄り添い、その人にとって最適な「住まいのかたち」を提案しています。デザイン性と機能性の両立を追求しながら、地域に根差し、暮らしやすさと美しさを兼ね備えた空間づくりを目指しています。
「こんな住まいが欲しい」「この空間で過ごしたい」と感じていただけるような建築をお届けしたいと考えています。
どうぞよろしくお願いいたします。
最新の投稿
- 2024年11月22日情報ブログペットと暮らす家づくりのポイントをご紹介!
- 2024年11月18日情報ブログ注文住宅の動線計画についてご紹介!
- 2024年11月14日情報ブログ注文住宅の外壁素材の選び方をご紹介!
- 2024年11月13日情報ブログトップライトとは?メリット・デメリットと選び方のポイントを解説します