20年以上前に大流行した頃のロフトの構造は、窓がなくアパートの屋根の構造の関係で斜めに傾斜していることが多く、三角柱を横にしたような形状空間になっているものがほとんどで、リノベーションが必要なものがほとんどです。そんなロフトの夏は特に最悪で、熱がしっかり籠もってしまい、梅雨時のカビ臭さもしっかりと残っています。そんな場所で横になるとかなりの圧迫感と悪臭に襲われ、体調不良になりかねません。眠るだけならなんとか耐えられますが、そんな場所で昼間に何かやる気にはなれません。
リノベーションでまず最初に必要なのは、換気と冷風です。いつも同じ澱んだ空気が滞留しているので、窓を設置して外の空気が入るようにしなければなりません。ハイジの山小屋の天井部屋にも窓があったのと同じ理屈です。ロフトはかなり高い位置にあるので、エアコンの冷風が届かずそのスペースに行くと、もわっとした空気が体に纏わり付いてきます。したがって、エアコンの位置を変更するか、ロフトにも冷風機を置くなどの対策が必要です。ロフトがお洒落だと流行った20数年前の構造には、こうした配慮がなく、後々問題点が明らかになってきたので、リノベーションは絶対に必要です。そのままにしておくと、体にも悪影響を与え、熱中症や呼吸器系疾患に繋がる危険性があります。
あと、精神的にもあまりよくありません。最初は子どもが押入れの狭い空間を楽しむような感覚ですが、そのうち窮屈で惨めな感覚に襲われてしまう人もいます。つい、物置みたいになって、収納が面倒になった旅行カバンや布団類などをとりあえず置いておこうという空間になってしまうので、日ごろから注意が必要です。蛍光灯の明かりもほとんど届かないので、夜に作業をする場合は、別途電気スタンドを置く必要があります。入居して数ヵ月経過する頃には、その場所にいるだけで気分が滅入ってくるので、壁紙を変えてみたりすることも気分を変えるのに効果的です。斜めになっている部分に天窓をつけると、夜空を見ながら眠りにつくことができるので、気分的によいのではないかと考えます。
ハシゴのリノベーションも忘れてはいけません。既存のものは、小さくて脆弱なハシゴなので、たまに寝起きで寝ぼけて足を踏み外して転落して怪我をします。そうならないためにも、横幅を広くとってゆとりをもって昇降できるハシゴにする必要があります。凸凹した粗い形の材料を使うのではなく、すべすべの材質で角が丸くなっている形にしないと足の裏が痛くなってしまいます。ハシゴが下階の部屋スペースの邪魔にならないように、壁にくっつけて太い素材は使用しない方が賢明です。
投稿者プロフィール
- はじめまして。兵庫県神戸市で一級建築士として活動している石憲明(せき のりあき)です。「seki.design」では、神戸市や芦屋市、西宮市を中心に、注文住宅やマンション、別荘、クリニックなど、幅広い建築物の設計・監理を行っています。
私が大切にしているのは、クライアントとの対話です。一人ひとりのライフスタイルや価値観に寄り添い、その人にとって最適な「住まいのかたち」を提案しています。デザイン性と機能性の両立を追求しながら、地域に根差し、暮らしやすさと美しさを兼ね備えた空間づくりを目指しています。
「こんな住まいが欲しい」「この空間で過ごしたい」と感じていただけるような建築をお届けしたいと考えています。
どうぞよろしくお願いいたします。
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