せっかく苦労して建てた家。いざ住み始めてから不快な思いはしたくありません。それを防ぐためにも、注文住宅をお考えの方には床の遮音性能をきちんと考えておく必要があります。
床の騒音を定量的に表した数値として、L値(エルち)というものがあります。値が小さい程遮音性能が高いという見方になります。45を最低値として5ずつ等級が上がっていき、80が最高値になります。L値にも様々な種類があります。同じ騒音でもカツンという軽めの音やドスンという重めの音があります。軽めな音の場合はLL(LightWeight)、重めな音の場合はLH(HeavyWeight)という風に区分されます。
気を付けなければならないのが、L値はあくまで推定値であるということです。数値はある条件下での測定値に基づいていますが、全ての住宅がその条件と同じとは限りません。適切なL値の使い方は、床下コンクリート材の厚みとL値との関係性です。L値を低く抑えるためにも、遮音材選びは重要です。まずは、コストや可能な工法によって選択肢が決まってくるイメージです。
例えば、最も簡単な方法はマットを敷くことです。住宅に合わせてマット材を切ったりしながらパズルの要領で貼っていくため専門技術が無くても簡易に設置出来ます。ただし、その分遮音性能は劣ります。施工時であれば、フローリングの下にあらかじめ遮音材や吸衝撃材をセットしておくことが出来ます。初期にかかるコストが高くなってしまいますが、住み始めてからまた工事をするとなると調整が難しくなるとが想定されます。
フローリングの見た目をしているのにソフトな触感の仕上げ材があります。規模の大きな工事が出来ない場合は、こういったクッションフロアを使用するという方法もあります。ただし、クッションフロアは熱に弱いため経年で剥がれてしまいます。また、重量のあるものを同じ場所に長期間置いておくと、圧痕になってしまいます。このように、遮音性能を向上するためには遮音性のあるフローリング材を直接貼り付ける方法と、下地にあらかじめクッション材をセットしておく方法があります。
リフォームの場合、床がどういう構造であるかによっても工事の難易度が変わってきます。直張の場合はコンクリートの上に直接フローリング材を貼り付けているため、一度剥がすのに大変な手間がかかります。反面、二重床という構造であれば、フローリング材とコンクリートの間に隙間があるため比較的容易に工事を進めることが出来ます。
以上の様な点に気を付けながら、ご家庭に合った材料や工法選びがポイントとなるのです。
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投稿者プロフィール
- はじめまして。兵庫県神戸市で一級建築士として活動している石憲明(せき のりあき)です。「seki.design」では、神戸市や芦屋市、西宮市を中心に、注文住宅やマンション、別荘、クリニックなど、幅広い建築物の設計・監理を行っています。
私が大切にしているのは、クライアントとの対話です。一人ひとりのライフスタイルや価値観に寄り添い、その人にとって最適な「住まいのかたち」を提案しています。デザイン性と機能性の両立を追求しながら、地域に根差し、暮らしやすさと美しさを兼ね備えた空間づくりを目指しています。
「こんな住まいが欲しい」「この空間で過ごしたい」と感じていただけるような建築をお届けしたいと考えています。
どうぞよろしくお願いいたします。
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