注文住宅の設計では導線計画が大切となり、必要なポイントを知っておくことが必要です。大きな建物と異なり、住宅の導線は自由なことは意外と知られていません。住宅ではどこからどこへ移動するにも、大した距離を歩くわけではないのです。そのため既存の考えにとらわれない、自由な計画でも問題はありません。しかし、ポイントを知っておくこと、自分の選択肢を増やすことができます。
注文住宅の導線計画は回れる住宅を目指すとうまくいきます。回れる家とは、ある地点に行くためにルートを二つ用意することです。その地点に行くためのルートが一つしかない場合は楽しさが半減します。二つのルートがあることで選択肢が増え、そのことで楽しさが増すのです。ルートは必ずしも廊下である必要はなく、部屋を通り抜けても問題はありません。とにかく楽しい導線を目指すことで、機能的な家にもなるのです。
注文住宅の導線計画で問題となりやすいのが階段の位置です。玄関から居間を通らないで2階へ行けるプランは、家族の連帯を希薄にする可能性があります。2階へ上がる前に家族と顔をあわせることができれば、連帯は深まるでしょう。階段は通常は一か所なので、居間の近くに配置したいところです。しかし、居間の落ち着きのためには、必ずしも居間から上がる必要はありません。
家の中で多くの時間を過ごすのは主婦です。主婦が疲れない導線計画をすることは無駄ではありません。家事は一つのことだけをすれば良いものではなく、複数の仕事を掛け持ちすることが普通です。家事の中心となるのはキッチンなので、洗濯室はキッチンの近くが良いでしょう。洗濯物を干す必要があるならば、庭へ出る扉も近くに設けたいものです。朝の忙しい時間にキッチンでの仕事と洗濯を同時にできれば、家事は楽になるのです。
家族が全員若いうちは、導線が問題となることは多くはありません。しかし、家族に介護が必要となると、導線の役割は増します。若いことは難なく移動できた距離でも、高齢となると難しくなることも考えられます。注文住宅の導線は高齢となった時のことを考えて、設計する意義はここにあるのです。1階に洋間の個室を設けることで、将来は老人室として利用できます。その近くにトイレを設けることで、介助の手間が少なくなるのです。
導線計画のポイントは単に空間的なものだけでなく、時間的なことも考慮することです。子育ての時期や介護が必要となる時期のことも初めから考慮して計画することが大切なのです。将来に備えた導線は、常に使いやすいものとなっていることでしょう。
投稿者プロフィール
- はじめまして。兵庫県神戸市で一級建築士として活動している石憲明(せき のりあき)です。「seki.design」では、神戸市や芦屋市、西宮市を中心に、注文住宅やマンション、別荘、クリニックなど、幅広い建築物の設計・監理を行っています。
私が大切にしているのは、クライアントとの対話です。一人ひとりのライフスタイルや価値観に寄り添い、その人にとって最適な「住まいのかたち」を提案しています。デザイン性と機能性の両立を追求しながら、地域に根差し、暮らしやすさと美しさを兼ね備えた空間づくりを目指しています。
「こんな住まいが欲しい」「この空間で過ごしたい」と感じていただけるような建築をお届けしたいと考えています。
どうぞよろしくお願いいたします。
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