小さな窓を暮らしの中心に
北側の壁にある、一見主役にはなり得なさそうな小さな窓──しかしそここそが、この部屋でいちばん陽の射す場所でした。この窓の持つ可能性を追求し、それを中心に空間を構成した住まいです。
空間の構成
- ふたつの〈への字〉がからみあう空間
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空間は、〈への字〉型のキッチンと、同じく〈への字〉型に曲げられた窓際のソファとの組み合わせによってかたちづくられています。
しゃもじのような緩やかなカーブを描いている造りつけのダイニングテーブルは、ふたりでゆったり座ることができるもの。このカーブは、人の動きをスムーズにする役割も果たしています。
北側の壁面に設けられた窓は小さいながら、そこから大阪の街を眺めることができ、また部屋に日当たりをもたらします。その窓をできるだけ大きく見せたいということで、壁面には窓に似せた行燈や鏡を使って仕掛けをしました。その窓辺に置かれたソファは寝転んでくつろいだり、ハイバックの背もたれに身をあずけて窓の外を眺めながら過ごすことができる、この部屋の特等席です。晴れた日にワイン片手に本を読んだり、素敵な時間を過ごしてもらえればと思っています。リモート会議などでは、この窓側の壁面やソファを背景にするのもいいですね。
照明計画も、この行燈や間接照明をつかいムードのあるものを考えました。疲れて帰ってきたときに、ゆっくりと疲れを癒してくれるような落ち着いた空間となっています。
Photographs
photo: akiyoshi fukuzawa
窓際ですごす家 Re:
施工: 春建築工房
キッチン: 星野木工株式会社
所在地 | 大阪市 |
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用途 | 専用住宅 |
家族構成 | 1名 |
竣工年 | 2021 |
構造 | RC造マンション(改装) |
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敷地面積 | ── |
延床面積 | 13坪 |
施工費 | 1250万(税込) |